イタリア(アグリツーリズモ編)

10日目: 2010年12月9日 「はじめてのアグリツーリズモ」

 ヴェネチアから特急で4時間、トスカーナ州のコムーネのひとつであるアレッツォを目指します。なぜアレッツォを選んだかと言いますと、海外での運転が初めての夫でも運転できそうなギリギリの町かなと思ったからです。アレッツォ中心部は映画「ライフイズビューティフル」でも知られる美しい町ですし、周辺には美しい田園地帯が広がります。駅の目の前のAVISでレンタカーを借りてすぐに16km先の目的地であるアグリツーリズモを目指します。

 たかが16kmですが初めての海外ドライブはハラハラの連続です。左ハンドル、右走行、マニュアル車のドライブは助手席にいたことを思い出しても力が入ります、笑。途中迷いながらなんとか到着した頃にはすでに疲れていたのですが、さらにこの宿の主人がイタリア語しか喋らなかったため意思疎通ができませんでした。オリーブオイル、ワイン、ハチミツの生産~加工~販売まで行い、ショップや立派なアグリツーリズモ(宿泊施設)を持ち多角的に経営している農家です。いろいろと話を聞いてみたかったのですが、英語が通じる息子が留守のためヒアリングは何もできませんでした。アグリツーリズモは丘の上に位置し、最高のロケーションでしたが、シーズンオフで朝食提供なし、バーのオープンもなしで、がっかりでした。

11日目: 2010年12月10日 「サバイバルドライブ」

 もし気に入れば明日以降もこのアグリツーリズモに連泊してもよいかなと思っていたため最初の2泊しか予約していませんでした。実際にはこのアグリツーリズモを移りたいと思ったため明日以降の宿を探さなくてはなりません。宿事務所のパソコンを借り、居心地の悪い中短時間で今後のアグリツーリズモ1件、ホテル2件、南仏までの夜行バスの予約をします。その後この田舎の銀行では両替ができなかったため(郵便局は閉まったばかり)再び昨日レンタカーを借りたアレッツォ中心部に戻ることに。町の銀行まではサバイバルドライブでした、苦笑。イタリアの町は交通規制が多く、ナンバーを登録した住民以外の車は進入禁止、という区間があったりと分りにくいものが多いのです。ナビ通りに行ったら道がオープンテラスで塞がれていたりといったハプニングも。取り締まりはカメラで行われているため、違反通知は後日郵送されると聞いていたのでビクビクでした(結局大丈夫でした)。帰りに郊外のスーパーに立ち寄り夕食の食材を調達しました。この時購入した塩とコショウは旅の最後まで大活躍するマストアイテムになりました。夕食は部屋のキッチンで料理したミネストローネとサラダです。

12日目:2010年12月11日 「続・イタリアで食の虜に」

 今日から3泊、現在地から50km離れたカプレーゼミケランジェロのアグリツーリズモに宿を移します。約1時間のドライブですが、町中を運転するのとは違って、たとえ山道だとしても田舎道の方がストレスがありません。イタリア人は抜かしてくれるので煽られることもあまりありません。山道は2車線を自由自在にアウトインアウトしていて度胆を抜かれました。途中で12月5日に前述した「イタリアの最も美しい小さな村」のアンギアーリに偶然立ち寄りました。思わず息をのむほど美しい光景でした。途中で今朝作ったお弁当のサンドイッチでランチタイムです。(ジップロックが便利です。料理できる環境があると昼食用にサンドイッチをよく作って出かけました。)

 予約したアグリツーリズモil Vignoは途中不安になるくらい山の奥にありました。無事辿り着き宿の主人ジュリオが出迎えてくれた(英語が通じた!)時は安堵すると同時に、これはいい滞在になると確信しました。我々は一目見て彼が大好きになってしまったのです。ここ3日間、我々ふたり以外の人と会話をしていなかったため早速ウェルカムドリンク(赤ワイン)片手に話こみました。そしてまだ先になりますが、この後イタリアを遠く離れたモロッコで我々とジュリオ家族は再会することになります。アグリツーリズモil Vignoのとの奇跡的な出会いはこうして始まりました。

 その夕食、唸るほど美味しいとはこういうことかと実感させられました。BIOのものを中心に地元の食材だけを使った料理はどれも滋味深く素晴らしいものでした。プロシュート、サラミがたっぷりに、サルシッチャなどのブルスケッタ、ペコリーノ(羊のチーズ)とはちみつ、チーマディラーパとドライトマトの煮込み、チコリーのペンネです。オーガニックワインを頂きました。とても幸せな日でした。 

13日目: 2010年12月12日 「周辺散策」

 1日のはじまりは朝食から。イタリアの朝食は12月4日前述のクロスタータというお菓子など甘いものが多いです。(我々なら朝からプロシュートでも食べられましたが・・・笑)特に美味しかったのが地元の牛乳です。私は牛乳が苦手なので特に熱いものを飲むなんて普通はしませんが、このホットミルクは美味しく頂きました。

 さて3泊滞在の中日ですのでこの日は車で買出しに出かけ夜は自炊することにしました。(アグリツーリズモは部屋に台所、調理器具や食器も備え付けてあることが多いようです。)サンセポルクロという城壁に囲まれた町まではバイパスを通って最短距離で25km程ですが、我々はもう少し時間をかけて下道を行きました。気持ちのよいドライブ日和です。城壁内を見て歩き、COOPで食材を買い、帰りに宿でおすすめされたレストランMacondoに遅いランチに立ち寄りました。気さくな家族でジュリオに紹介されたと告げると、ブルスケッタをサービスしてくれ帰りにはil VignoとMacondo2つのパンフレットを持って記念撮影までしました。トマトだけのシンプルな生パスタのリングイネが美味しかったと今でも夫は言います。

14日目: 2010年12月13日 「至福のアグリツーリズモ」

 夫の28回目の誕生日です。この日は運転はなし、終日Il Vignoと周辺の森を散策しながらゆったりと過ごすことにしました。午前中はアグリツーリズモについていろいろと聞きたかったのでジュリオを質問攻めにし、施設の案内をしてもらいました。彼らはいわゆるIターンでこの地に入植しています。2003年に17世紀頃の建物と土地を購入し、2004年に宿としてオープンさせました。最初は母屋の3室からはじめ、その後離れの建物を改装して順番にオープンさせています。宿業の傍らに農業を営んでおり、作物は栗、オリーブ、りんご、洋ナシ、野菜各種、にわとりなどです。主に宿の食材になっています。(栗は出荷もしているみたいです。)宿業が忙しくなりすぎたため、農業をちゃんとやることが目標だそうです。ワインもやってみたいし、納屋の改装もやりたいし、夢があります。宿のコンセプトは「peaceful place without traffic (喧噪のない安らげる場所)」、ロケーションはまさにその通りで便利な場所にはありませんが、来てしまえば交通の騒音とは無縁で、山あり森あり川ありと自然の中に身を置き寛ぐことができます。都会に住まう人にとっては圧倒的な非日常をひとときの日常として過ごせる空間です。

 この日も宿にお願いしてディナーを用意して頂きました。前回と内容が少しずつ変わっています。あまりにもペコリーノ(羊のチーズ)に感動したもので、今日は消費期限が1日というリコッタ(フレッシュタイプ)を用意してくれました。私たちの滞在期間は閑散期だったためたまたま他にお客さんがいなかったため、夕食後はVin Santoというデザートワインを飲みながら、ジュリオとアリスの夫婦と4人で遅くまで楽しい時間を過ごしました。本当に至福のひとときでした。

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