イギリス(ロウファーム編)

56日目: 2011年1月24日 「B&B開業講座第1回 料理」

 Lowe Farmは特別思い入れのあるB&Bです。学生の時に3週間このB&Bの仕事を手伝いながら滞在する貴重な機会を得ました。以来Lowe Farmを訪れるのは今回が3度目になります。しかしそれまで私はLowe Farm以外のB&Bを知りませんでしたので、今回は3回目の滞在にして初めて他のB&Bと比較して客観的に見ることができます。もちろん、ジュリエットやお世話になったLowe Farmの人との関係抜きには語れないので、インスペクターのように評価することはできませんが。それでもいくつかのB&Bを経験してみて客観的に評価してみることも勉強だと思って見てみました。結果としては、どのB&Bも素晴らしかったのですが、Lowe Farmは卓越していました。

 B&Bに宿泊する楽しみは朝食ですが、Lowe Farmの朝食が他のB&Bと違ったところは「注文を朝食のテーブルでとる」点です。他のB&Bでは前日中にリクエスト(卵の焼き方など)を出していました。でも朝食はその日の朝の気分次第で食べたいものが変わるものですし、朝食のテーブルで注文をとってくれるならそれが確かにベストだなと思いました。(注文をとってもその間にヨーグルトやフルーツ、ジュース、シリアル、コーヒーなど食べるものはたくさんあるので待ちくたびれることはありません。)

 この日はOakchurchというファームショップへ出かけました。今まで見てきたような小規模のファームショップとは違い、スーパーのように大きなファームショップです。もともとは農家の女性がフルーツの摘み取り園(PYO:pick your ownと言います)を開業し、成功した結果現在のように大きなショップにまで成長したそうです。レストランも併設しておりここでランチをしました。ジュリエットはここの肉屋の常連さんで、B&B用にたくさん購入します。イギリスの肉屋さんはネクタイを締めてサッパリとした正装をしているのが印象的です。

 さて、今回は「将来は私たちもB&Bをやりたい!」ということで5泊の修行のつもりで受け入れてもらいました。B&B開業講座第1回「料理講座」のはじまりです。料理の内容もですが、ジュリエットのオーガナイズされた動きに注目します。手際が良く、台所内も整理整頓されているため無駄な動きがありません。料理中にコンロの掃除も終わらせてしまい、食後は食器洗い機の洗浄に任せるだけですのでゆったりと過ごすことができます。見習うことがいっぱいです。(写真はチキンパイを取り分けているところです)

57日目: 2011年1月25日 「B&B開業講座第2回経営」

 Lowe Farmはヘレフォード県のペンブリッジという小さな村にあります。決して観光地として有名なところではありません。それでもこのB&Bが成功しているのは(B&B部門の金賞を何度も受賞しています)B&B自体の魅力はもちろんですが、周辺地域の魅力をジュリエットが発掘してゲストに過ごし方の提案をしているところにあると思います。豊富な地図や、パンフレットなどのツールはまとめられており、自由に持っていくこともできます。(写真です。)周辺のパブやレストランとも繋がりがあるので予約のお願いもできます。居心地の良いラウンジスペースや、美しいイングリッシュガーデンで一日を過ごすのもいいですが、休暇の楽しみはそれだけではないはずです。何度もリピートしたくなる理由には周辺地域の隠れた魅力を開拓することが不可欠でしょう。

 さて、今日はヘレフォードの中心部へ行きました。ヘレフォード大聖堂でジュリエットが私たちの結婚を祝福するキャンドルを灯してくれました。彼女自身も夫であるクライブと結婚したのが、私たちと同じ年齢だったこともあり(しかも農家に嫁いだという共通点もあって)とても喜んでくれていました。

 帰ってからはジュリエットのB&B開業講座第2回「経営講座」のはじまりです。ジュリエットは前職は銀行で働いておりその時のビジネススキルがB&Bの経営に活かされていると言います。アナログの予約台帳とデジタルの顧客管理シートを使いこなし、予約から宿泊後までが一貫して連動しています。(予約確認書の発送、領収書の発行、ニューイヤーズレターの発行など)収入や経費の精算も溜め込むことなく管理されているので、B&Bの経営状態が常に分かります。普通の会社では当たり前のことかもしれませんが、個人事業で管理するのはなかなか難しいことです。実際に、それまで泊まったB&Bでジュリエットのような領収書を発行してくれたところはありませんでした。(簡単な手書きのメモでした)当たり前のことを当たり前にやることの大切さを実感しました。

58日目: 2011年1月26日 「B&B開業講座第3回クリーニング」

 ジュリエットのB&B開業講座第3回は「クリーニング」です。美しいベッドベイキングの方法や、ジュリエットこだわりの重曹を使ったオーガニッククリーニングについて教えてもらいました。掃除も楽しくするのが彼女流いつも笑いが絶えません。

 今日のお出かけですが、オーガニック食品を売っているSurvival Wholefoods Ltd(名前から信念を感じます)へ立ち寄った後に、ラドローという美しい町へ行きました。オーガニック食品の店には日本料理の食材も多く、そのほとんどが日本で見たことのないものでしたが、有機の認証があるものでした。ラドローではジュリエットの大好きなティールームDeGrey'sへ直行しランチタイムです。伝統的なイギリスのカフェといった雰囲気です。その後はショッピングタイム!日本への帰国日が迫り、お土産購入に必死になっている私たちです。

 さて、夜は以前このLowe Farmでワーキングホリデーを利用して滞在していたゆきさん姉妹と合流することになっていました。久々の再会がイギリスの、しかもLowe Farmでという偶然!ジュリエット夫婦、ゆきさん姉妹、我々夫婦と6人でパブへ行き、積もる話等々楽しい夜が更けていきます。

59日目: 2011年1月27日 「農夫談義」

 B&Bで過ごす朝はゆっくりです。女性陣がおしゃべりに夢中になっている頃、夫はLowe Farmのファームツアーに出かけていました。アテンドはジュリエットの旦那さんであるクライブです。クライブはシャイな方ですが、妻のジュリエットがB&Bを開業して10年以上経った間に、ゲストとのコミュニケーションを積極的にとるようになったそうです。他のB&Bでは農業に従事しているご主人があまり表に出てこなかったので、夫はクライブと農家談義できたのが嬉しかったようです。

 その後はウスターへお買いものに出かけます。あの「ウスターソース」はこの地名に由来するそうです。 ジュリエットはお買い物上手で、良いと思ったものは即決します。B&Bの内装がセンス良くまとめられているのは、目指すべき趣向からぶれずに物を揃えているからでしょう。ジュリエットは壁紙の張り替え、カーテン作り、タイル貼り、ペンキ塗り、すべてを自分でこなしています。壁紙やカーテンはローラアシュレイのものを、ペンキはオーガニック塗料を使用しており高品質な素材にこだわっています。

 最後のディナーはLowe Farmでフィレステーキを頂きます。「料理講座」のように全員で夕食作りです。フィレステーキは1月24日に前述したOakchurchファームショップのお肉です。最高に贅沢で楽しいディナーでした。

60日目: 2011年1月28日 「コペンハーゲンへ」

 Lowe Farmで頂く最後の朝食は特別なものを、ということでジュリエットがクリスマス用の朝食を用意してくれました。基本はイングリッシュブレックファストですが、白ワインを贅沢に使って仕上げるものです。ジュリエットはこの朝食をBBCローカルの番組で実演したことがあるため特別に思い入れのある料理です。こうして頂けることは本当に光栄です。

 湿っぽい別れはなしでということで、ジュリエットとクライブとお別れしました。駅まではゆきさんの車に便乗させて頂きました。途中、ヘレフォードが一望できる丘に立ち寄ってくださったのですが、そこから景色を眺めると、さっきの別れの感傷が込み上げてきます。

 ゆきさん姉妹ともヘレフォード駅でお別れをして、私たちはバーミンガム空港へ向かいます。長かったイギリスを去り、次のそして最終目的地であるコペンハーゲンに向かいます。

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